歯周病治療
薬で歯周病を改善する治療
歯が抜け落ちてしまう歯周病。悪化すれば早産や心臓発作を引き起こす可能性もあります。原因菌の除去に「薬を服用した治療」をお勧めします。
「歯ぐきから血が出る」「歯磨きをすると痛みがある」「口臭が気になる」「寝起きに口の中がネバネバする」
こんな症状でお困りのあなた、それは「歯周病」かもしれません。
歯を支えている歯肉や歯槽骨が少しずつ破壊されていくお口の病気を歯周病といいます。歯周病は、お口の中にある細菌が引き起こす感染症の一種です。
歯周病はどうやって進行する?
【STEP1】口の中の汚れや歯垢が石灰化し歯石に変わる
【STEP2】歯周ポケットと呼ばれる、歯と歯肉の溝が深くなり細菌の温床になる
【STEP3】そうやってできた細菌が歯肉の炎症を起こし、歯周ポケットの奥深くまで広がる
【STEP4】細菌により歯根膜や歯槽骨まで溶けてしまい歯を支えきれなくなる
【STEP5】支えを失った歯がグラグラしてくる
STEP5まで進行してしまうと、一般的な治療での完治は難しくなります。歯周病を放置すると最終的には歯を失ってしまうこともあります。
歯周病になる原因と、歯周病がなかなか完治しなかった理由
皆さんは、18歳以上のほとんどの人が歯周病菌に感染している事実をご存知ですか?口臭やねばつき、歯肉の腫れや出血…。これらすべて歯周病の症状なのです。
症状や進行具合にもよりますが、毎日の歯磨きや歯科医院での定期的なメンテナンスだけでは歯周病対策にはなりません。そこで現在注目を浴びているのが「薬を服用した治療」です。
薬を服用した治療とは?
これまでの歯周病治療は、歯周病の原因である菌を消すことができませんでした。歯磨きの訓練や歯石除去、外科治療など痛い思いをしながら、何ヶ月もかけて治療をするのが当たり前。それでも、ブラッシングをちょっとサボると悪化してしまう繰り返しでした。
そこで当院では内服薬を用いた治療を行っています。これまでの歯周病治療とは異なり、薬を服用した治療で歯周病の原因菌に直接働きかけます。歯石を除去する前に内服薬でカビや歯周病菌を除菌するのです。
この治療法は、歯周病によって歯ぐきや溶かされた顎骨が受けたダメージを再生可能にしました。抜歯するしかないグラグラになってしまった歯でも、「薬を服用した治療」なら残すことができるのです。
お口のカビって?撃退法は?
歯周病の原因の一つとされる、口の中の「カビ」。直接的な原因ではありませんが、歯周病菌の住み家となって守ってしまう役割を持ちます。口の中にカビがあると、歯磨き粉などに含む薬用成分が歯周病菌に届かないのです。
厄介なことに、このカビ自体は歯磨き粉に含まれている薬用成分では死滅してくれません。したがって、治療にはカビ除菌用の特殊な薬が必要です。
薬を服用した治療の流れ
【STEP1】歯垢除去
- 口の中にある歯垢(プラーク)の除去
- 除去した歯垢を顕微鏡でチェックし菌の存在・種類・量を調べる
【STEP2】除菌
- カビを殺す歯磨き剤でブラッシング指導
- 歯周病菌を殺菌する内服薬の処方
- 特殊な消毒薬で菌や歯周ポケットの洗浄
【STEP3】検査・歯磨き
10~14日程度、ブラッシングと薬の服用の継続
↓
再度顕微鏡で検査
↓
除菌確認後、特殊な歯磨き剤で歯磨き(1ヶ月程)
↓
歯石など通常の汚れの取り除き
歯周病と全身疾患
歯がグラグラして抜けてしまう歯の病気だった歯周病。しかし近年、歯周病と全身的疾患との関係が指摘されています。
誤嚥性肺炎との関係
寝たきりや高齢による抵抗力の低下が進むと、口腔内に大量の歯周病菌が発生します。その結果、誤嚥性肺炎を発症する可能性が出てきます。
早産や低体重児との関係
歯周病菌による口腔内の炎症が血管を通して全身に回ることがあります。そうすると、羊水に影響を及ぼし早産や低体重児の原因になります。
心臓発作(心筋梗塞)との関係
重度の歯周病に侵されると、歯周病菌が血管内に入り込み血液と共に全身の臓器に侵入します。歯周病菌の一種である、血栓(血の塊)を作る作用で、心臓の血管を詰まらせ心臓発作を引き起こすことがあります。